『Ryu-my Cafe ストーリー⑨』 My Freedom Beyond Those Experiences
最終話 『freedom beyond』
カフェオープンから5年目の頃、未払い税金の滞納残高が数百万円になってしまった。
何度も届いていた財産差し押さえのハガキもいよいよ最後勧告。
限界まで働いて守って来たこの場所がなくなるなんて信じられない。あまりにリアル過ぎて、誰にも相談できなかった。
もう限界だ。初めて弱気になって「ギブアップ」の言葉が浮かんだ。
でもね、その瞬間「あっ!!」と思い出したんだ。私が死んだ時に、息子たちに残さなくちゃと思っていた生命保険の積み立てがあったことを。
息子たちの為に「これだけは無いものと思って生きよう。」と決めていたから、忘れるようにしていた生命保険。絶対、手をつけちゃいけないと思っていた。
「あれを解約したら、いくらになるのだろう!?」最後の手段だ。すぐに保険屋さんに確認した所、滞納していた税金が支払える金額が貯まっていた。
一度死んだと思えばいい。また生き直せばいい。
私は、その生命保険を解約して滞納していた税金を支払った。本当に気が楽になった。
財産差し押さえのハガキから、ようやく解放された。
住宅ローンなどの毎月の多額の返済は、まだまだ残っていたけど少しだけほっとした。
そして、もう一つ。起業20年目になっていた会社も解散した。
完了までに1年もかかったけど、全部自分で手続きをした。
「私は失敗者だ。もっと反省して罰を受けなければならない」という重い鎖を一つ一つ下ろしている時にコロナが始まった。
売り上げは激減。
そんな中、カフェを応援してくださっているインスタグラマーの方や馴染みのお客様、たくさんの友人たちがお店のアピールをしてくださり応援してくれた。
周囲の皆さまの優しさに愛を感じた。今思い出しても感謝の気持ちが溢れてくる。
たくさんの方々のおかげで、なんとかこの1年を乗り越えてこれたんだ。
小さかった息子たちも、この9年で大きく成長。
長男は、19才。社会人になり、次男は高校生に。
そして、私は50代に。
振り返ると20才の時に「もう逃げない!」と決意してから、30年も月日が経っていた。
踏ん張り続けた足は痺れるようになり、近くの文字も見えなくなった。
逃げずによくがんばった。もういいよね。これからは、気楽に自分を喜ばせて生きてもいいよね。
やっと自分を許す事ができた。
私は、自由に生きたい。カフェの仕事も楽しんでやりたい。
ここまで乗り超えてこられたのは、今まで出会ってくださった全ての皆様のおかげです。
誰一人欠けても今の私にはなれませんでした。本当にありがとうございました。
今回の改装工事の為に、また借り入れをした。私が心から人生を楽しむ為の借り入れだ。
新しいカフェは、私のワクワクがいっぱいの楽園にするんだ。
願いは叶う。
願ってその実現を信じ、地味にコツコツとやり続ける。
叶うまでずっとやり続ける。
やり続ければ必ず、次の世界が見えてくる。
あの日に聞こえた『カフェやりなよ!』の声は、
今の私からのメッセージだったのかも知れない。
freedom beyond
Ryu-my Cafe